Unplugged


【第4講】どんな体制が望ましいか

 さて、ここでちょっと視点を変えて、ウェブサイトを運営するためにどんな体制が望ましいかを考えてみよう。
 まず「Salaries for Internet Professionals」をご覧いただきたい。インターネットの主な職業とその給料がまとめられている。ここには「Designer」「Web Administrator」「Web Publisher」「Internet Strategy Director」「Electronic Commerce Manager」の5種類の職種があげられている。なんとなくマネジメント系に傾きすぎている気がするが、これは前章で触れたコンセプトの重要さを考え、それを守っていくための職種を中心にあげられているからだろうか。

 ぼくがクライアントに出向いた時、対応してくれる窓口は主に二種類。広報と、システムだ。どちらがいいという問題ではないが、少なくとも戦略志向ができ、それに基づいた意思決定ができる部署なり担当者であってほしい。
 インターネットというとつい技術面に目がいきがちだが、大切なのはコンセプトとに沿ったコンテンツ構成。このあたり、「Get Thee A Content Manager」では「Content Manager」という職種を提唱し、重要さを指摘している。
 担当が広報の場合でもシステムの場合でも、ウェブサイトを通じてどのようにコミュニケーション活動を図り企業活動をデザインしていくかという戦略の話が弱くなる傾向がある。ウェブサイトを担当する窓口の長は、マーケティング思考ができ、技術動向にも明るく、編集能力のある人材が望ましい。ま、なかなかいないんだけどね。

 ともかくそういう人が一人いれば、あとはその意向に添ってシステムを作り上げる人と、コンテンツを組み上げる人、この二系統があればいいわけだ。ウェブ部門の人数は、「Online News Salaries and Staffing」によれば典型的なニュースサイトでも8人という調査もある。実際、アルバイトの活用やネットワークでの業務発注などを図ることで、そう多くの人材を抱えておく必要はない。

 意思決定の早さなどを考えるなら、正直言って社内で運営できるのならそれに超したことはないと思う。ただ、そのためには常に人材を抱えておかなくてはいけないわけで、結局、その人件費を考えれば、プロフェッショナルに外注するのも悪くないか、という結論もあるわけ。
 外注については面白い議論がある。「Why Net Shops and Ad Agencies Should Never Marry」で、広告エージェンシーとオンラインショップは犬猿の仲、っていう指摘がある。広告側はポリシー主体のクリエイティブであるのに対し、オンラインショップは結果重視の運営になるため、合わないという主旨。それに対しては「Roll Over, Web Shops」として、そんなことないという反論もある。
 このあたり、実際のところがどうかはともかく、業務を進めていく上での心の持ち方として参考になるのではないだろうか。

 最後に、日本で比較的よく耳にするウェブ関連の職種名をまとめておきましょう。

ウェブマスター
自社ウェブサイトの管理責任者。
ウェブ・プロデューサー
プロダクション側の職種。クライアントの意向を聞き、それを実現していく総責任者。
システム・アドミニストレーター
プロデューサーの意向をシステム面の使いやすさという視点で検討する職種。
システム・エンジニア
アドミニストレーターの提案を聞きつつ、実際のシステム導入を進める人。
プログラマー
プログラミングをする人。一時はこの人がHTMLファイルまで書いていた。今もかな。
ディレクター
プロデューサーの意向をコンテンツ面から実現していく職種。
コピーライター
ウェブサイトで利用する文章を書く人。
デザイナー
実際の画面を作る人。HTMLまで担当する人も多い。
 ただ、これらはあくまで目安。ほかにも職種名はいろいろあるし、今あげた中でも、最近のデザインはプログラミング要素が多くなっているとか、実際には入り乱れたりしていることも多いです。

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