【第2講】こころがまえはいいかな
さてと。インターネットを何に利用するか、ビジョンはしっかりしただろうか。
OK。じゃあ、もうひとつ、そのビジョンを推し進めるべき主体となる、あなた自身のこころがまえを確認しておこう。
いや、別に技術的なことではなく、インターネットをあなたの事業の中でどう位置づけるか、そのことを把握してほしいのだ。そうでないと、このあとの打ちあわせが異様にごちゃごちゃしてしまったりする。
まずは「ホームページ成功の戦略」をご覧いただきたい。上述のことが、うまくまとめられている。いわく現実の活動との連携を取ること。あるいは「実験」とか「とりあえず」という気持ちを捨てること。もちろん開設してすぐ実りがでるわけではないけれど、「とりあえず」と考えていると、そのとりあえずが永遠に続くことになる。ウェブサイトは決して仮想なのではなく、あなたの日々のビジネスの一環に組み込まれる地道な活動のひとつなのだ。
このあたり、ぼくはよくこんなことを言う。「ウェブサイトは新しいメディアじゃありません。新しい店舗(支店)なんです」と。テレビにしろカタログにしろ、メディア(媒体)というのは、とりあえず一度お金をかけて作ってしまえば、その段階で一安心するものだ。しかし、ウェブサイトは違う。立ち上げてからの方が重要なのだ。開店したのに清掃もされない、商品の入れ替えもない、店員もいない、そんな店舗には誰も寄らない。
さらに。ウェブサイトを誰に訪問してほしいか、具体的にイメージされているだろうか。つまり、ターゲットは明確だろうか。
このことは大切である。インターネットはまさにターゲットとのコミュニケーションの上に成り立つものなのだ。だからこそ、ターゲットを明確にし、あなた自身がインターネットの「空気」に親しんでおくこと。つまり、あなた自身がユーザと共感すること。このことがすごく大切なのだ。
このあたり、これはインターネット広告についてのコラムではあるが、「Know Your Audience」に「audience synergy」という言葉で表現されている。肌で感じる空気、これがウェブサイト運営のおおきな味方になる。
お気づきだろうか。実はここまでで触れてきたことっていうのは、要するにマーケティングの基本なのだ。別に特別な話ではない。それなのに、なぜかウェブサイトの構築となるとマーケティングを忘れ、技術的なことや、開設するという形ばかりにこだわってしまうことが多いような気がする。
マーケティングの基本、つまりビジョンと、それを具体化したものであるターゲットとポジショニング。この3つを、「How to Write a Marketing Plan for Your Web Site」でも確認しておこう。
さて。ここまではいいだろうか。
ではもうひとつ、インターネットならではのことを述べておこう。それは、インターネットはあくまでインターネットであるということ。
何をあたりまえなことを、と言われるかもしれない。でも、思い出してみてほしい。初期の電子モールの多くは、地図を画像で作ったり、3D空間にしたりして、店を選ばせていなかったか。もちろんやり方さえ気をつければその種のアプローチも有効なんだろうけれど、現実空間をネット上で模倣したって仕方ないのだ。
せっかくインターネットを利用するんだから、現実を真似るのではなく、もっと良いものにするべきじゃないか。このあたり「Better Than Reality」というチュートリアルに詳しい。英語はちょっと難しいんだけど、まあ要するに、ハイパーテキストやデータベース連携など、ウェッブならではの特長を活かそう、ということだ。文章の最後に、そのためのポイントが箇条書きにしてある。いわく、「カスタマイズ」「匿名性」「リンク」「無料」などなど。
さあ、これで準備はいい。いよいよ具体的な作業に入ろう。ぼくはクライアントからうかがった情報を手に、いったん戻ろうとする。あ、最後に、とクライアントから話がある。
えっ、競合? コンペティションになるって? あらあら。いや、けっこう多いんです、そういうケース。むしろその方がいいんじゃないでしょうか。インターネットの世界って、接続からプログラミング、コンテンツの発信と幅があるんで、何社かを比べるのも有効だと思います。
なんでしたら、「Guide To Launching A Web Site」をお読みください。英語ではありますが、これまで述べてきたようなことがチェックリスト形式になっていて便利な上、発注する会社の評価ポイントも全27項目、掲載されています。
さあ、それではさっそく、コンペに向けたプレゼンテーション資料作りに取りかかろうか。
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