Unplugged


【調書1】日本の情報化

 まずは「Information Technology Outlook 1997」を見てみよう。情報産業の規模に関する、OECDの分厚いレポート。インターネットの話に入る前に、その基盤となる情報技術の市場をざっと見ておきたいのだ。
 レポートには、情報技術産業がその他の経済成長率の倍の速度で伸びている姿が描かれている。日本はどうだろう。1994年度、なんとアメリカをしのいで情報通信技術の輸出国第1位だとか。とはいえ喜んでばかりはいられない。家庭でのコンピュータ・ユースという面では、オーストラリア、デンマーク、ドイツ、アメリカなどなどでは90年代半ばに4分の1の世帯で導入されるとされているのに、日本は入っていない。うむむ。

 ここで、とりあえずインターネット・ユーザ数を見てみようか。「CIA Top 15 Countries with the Most Internet Users」はどうだろう。アメリカは抜群に多いが、日本も健闘、世界第2位である。1997年で800万人弱と推測されている。すごいじゃん。
 でも、頭を冷やすために、「Internet Users per Capita by Country」で、人口あたりのユーザ数を見ておこう。おっと。日本は1000人につき63人。15位に後退してしまった。ちなみにアメリカは第4位、1000人につき203人。1位はフィンランドである。
 日本におけるコンピュータ導入の遅れは、「情報通信利用者動向の国際比較調査」でも裏付けられる。特にネットワーク化比率は、米国の63%に対して日本は35%。さらに危機的なのは、情報機器を使えないことに対する危機感が、日本では60%の人が感じているばかりで、他国より10ポイントほど低いこと。これで明るい未来はあるのだろうか。

 気になって「平成9年 通信白書」に目を通す。日本の情報通信に関する基礎的資料。そのなかで、収入弾力性値の紹介がある。いわゆる所得の増加に対して支出に振り向ける可能性を示す。情報通信関連は高い。ちょっと救われた気持ち。
 そこで、「通信利用動向調査」からインターネット利用の伸び率を見る。平成8年から9年にかけて、世帯では前年比3.1%、事業所では6.5%の増加。徐々にではあるが、増えてはいる。

 郵政省が続くが、最後に「情報通信21世紀ビジョン」を見ておこう。2010年の情報通信分野の市場規模などの予測がある。約125兆円。すごい。「ディストリビューション」「プラットフォーム」に対して、「コンテント」の比重が、今の33.5%から55.1%に増大する、という面白いデータもある。
 よし、がんばらなくっちゃ。

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OECD
各種統計情報などもしっかり提供されている。

Computer Industry Almanac
インターネット市場に関する国際的な調査を年数回発表。

野村総合研究所
インターネット関連プロジェクトが多数行われている。

郵政省
情報通信施策といえば定番ですね。資料も充実。



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