Unplugged


【第9講】環境問題を考える

 今回は環境問題について。といってももちろん、地球環境じゃなくユーザ環境ね。ウェブページを作る場合、どんなユーザでも迷わないようにしなくてはいけないから。
 ウェブと環境という場合、つまりは閲覧環境ということになる。おおきくネットワーク環境とハードウェア環境、そしてソフトウェア環境の3層で考えるといいだろう。

 まずネットワーク環境。これはつまり回線速度ということになる。現在なら 28.8Kbpsを中心に考えるといいだろうけれど、回線が混むとそのスピードがフルに出ることはないので、おおよそその半分くらいの負荷をかけて計算する。つまり、14.4Kbpsの速度でのダウンロード時間を念頭にページを作るわけ。  次にハードウェア環境。これまでなら Windows互換機か Mac かみたいな話になったのだけれど、ウェブの世界では、それはあまり問題にならない。せいぜい機種依存文字を使わないということ、レゾリューションが違うので明るさに注意(Mac で合わせると Windows では暗くなる)ということか。

 では何が問題になるかというと、どんな端末でブラウジングしているかということだ。根本的な問題として、PCで見ているかどうかということもある。だって、WebTV で見るということだってあるわけで。そうなると、「WebTV Design Guide For Webmasters」や「WebTV Guide」をお読みいただいて、それを前提にデザインしなくてはならない。
 もっともまだ WebTV は少数派。いったんは考えないでおくとしても、次はモバイル端末という可能性がある。もっとも問題になるのは解像度、いわゆるモニタの大きさだ。なかでも横幅をどうするかは大きな問題。縦のスクロールは許せるけれど、横のスクロールはうんざりするものね。「WEB DESIGN TIPS [1] ユーザー環境」にあるように、だいたい 800×600 っていうノートパソコンの液晶に多いサイズを標準とすればいいけれど、モバイル型も考えれば、横幅は 640ピクセル以内がいいかもしれない。特に横幅を取る理由がない限り、ぼくは 640以内を基本にしている。
 それから、縦のサイズにもこだわる場合は、ページのサイズだけを合わせても意味がない。ブラウザにはメニューバーやボタン、アドレス欄などがついており、それらだけで 100ピクセル以上は使っているんだから。

 さて。端末への対応ができても、次はソフトウェアの問題が残っている。つまりブラウザの種類とプラグインなどへの対応。「The Increasing Conservatism of Web Users」にもあるように、新しいブラウザへの移行はそう一気には進まないものなので、ある程度前の世代に合わせておくのがいいのではないか。
 ブラウザの種類は本来「How Many Browsers?」にもあるように数多くあるので、できるだけどんな人にも見ることができるようにしたい。
 なかには最新の環境に合わせる、と決めてしまう場合もあるようだが、ぼくの場合、たいていテキストブラウザでも見ることができるように配慮することにしている。ウェブってテクニックじゃなく、コンテンツで勝負するものなんじゃないかな。だったら、何らかの必然性がない限り、やたら最新技術を取り入れて見られない人を増やすのはいかがなものか、っていうのがぼくのスタンス。

 もちろん、一方では最新のHTML技術を使いたいという思いもある。かっこいいとかじゃなく、その方がナビゲーションが分かりやすくなる場合があるから。最新技術を使う場合は、その技術を享受できない人への対策を考えておかなくてはいけないほか、ブラウザによっても対応状況が違うので、そうした対策も必要になる。「Writing Dynamic HTML for all browsers」にもあるけれど、最新の技術を使う場合はなおさら、ブラウザの対応状況を考えた上で作成しなくてはならない。

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