住まいの役割
[今日の雑学 09.27]

 生まれ育った家は昔ながらの農家だった。土間があって、天井からはツバメの巣作り用にわらで作った皿がぶら下げてある。天井裏はカヤ置き場になっていて、ときにふくろうが棲みついた。
 住まいを通して社会や人間の本質をとらえようというのが建築人類学(日経9月26日)。たとえば死の扱い方。定住を余儀なくされた農耕民族は死者を弔った後、その魂を再び住まいの中に迎え入れる。一方狩猟民族では、死者を残し、住まいを捨てて移動する風習が見られるという。狩猟民族の住まいが、確かに住まうことを中心に考えられているのに対し、農耕民族のそれは住まうことを離れ、家族をつなぎ止める場としての役割を持っている。
 国立民族博物館の佐藤助教授の指摘に、最近の建築関係の刊行物の写真には人間が写っていないとある。確かに、昔の囲炉裏を紹介する写真にはそれを囲む家族が写り込んでいたりするけれど、最近のダイニング・キッチンの写真には家族の姿がない。
 住まいから、家族の場としての役割が消えつつあるのだろうか。



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Unplugged今日の雑学>1998.09.27