王の領域
[今日の雑学 09.12]

 滋賀県守山市にある下之郷遺跡は、全国でも有数の弥生の環濠集落跡として知られる。その中心施設と考えられている建物を方形の溝や柵で囲った区画跡が発見された(朝日9月11日)。
 環濠集落といえば四周に濠をめぐらした集落で、自衛を目的として発達したらしい。下之郷遺跡は、邪馬台国以前、倭が百余国に分かれていたと漢書地理志に記されていた頃のもの。とすると、集落全体として他のクニから濠で分け隔てつつ、なお集落内でも王にあたる位の人が庶民との間に壁を設けていたということになる。
 考えてみれば、紀元前1世紀か2世紀かという頃から、人々はクニとしての領域を囲い、他人との壁を築いていたわけだ。今でも、庶民の家の周りには壁がある。そして庶民と政治家の間には、ただ物理的な壁ばかりではなく、心理的に大きな溝があるんじゃないか。けっきょくそれは、数千年の歴史を経てますます広がってきているものなんだなと思う。



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Unplugged今日の雑学>1998.09.12