リセット
[今日の雑学 09.05]

 クローン牛はなぜ死ぬのだろう。日本で最初のクローン牛誕生が2ヶ月前。以来各地で10頭の出産例があるけれど、うち半数が死亡している(朝日9月4日)。
 これらの例はいずれも体細胞クローン。成長した牛の体細胞を利用する。クローンにはほかに受精卵を利用する方法もあり、こちらの場合だと死亡例はあまりない。
 生殖細胞は、身体のどの部分にもなれる全能性を持っている。それに比べ体細胞はすでに身体の一部に分化してしまった細胞。クローンに利用するにあたっては、全能性を取り戻させる「初期化」を行っている。
 ただ、本当にすべての機能が初期化されているかどうかという疑問が残っている上に、細胞周期はリセットされても、細胞年齢までは零歳に戻らないのではないかという問いかけもある。遺伝子の世界は奥が深い。
 世界最初のクローン羊ドリーが生まれてからそれほど経っていない。あのときは神の領域だとか倫理の問題など大きな騒ぎになった。ふと気づくと、クローン技術をこうして機能的な、分析視点で見てしまっている現状に気づく。それでいいのだろうか。もう一度気持ちをリセットして考えなおそう。お茶漬をすすりながら、ひとりうなずく。



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Unplugged今日の雑学>1998.09.05