芭蕉の決断
[今日の雑学 06.06]
景気の低迷を打開する核のひとつとして、ベンチャー企業に期待がかかっている。アメリカの今の繁栄がハイテク産業を中心としたベンチャー企業によっているという事情もあるのだろう。とはいえ、脱サラして起業するにはなかなかの決断力が必要だ。
その昔、松尾芭蕉も脱サラ組の一人だった話はご存知だろうか(日経6月5日)。もともとは一介の武士として伊賀上野城の城代家老の一族、藤堂良忠に仕えていたのだ。ところが、寛文6年(1666年)に主君の良忠が亡くなると、芭蕉は仕えをやめた。ときに23歳の決断。隠密になったという話もあるが、主君のお相手をするうちに俳諧にひかれていったのだろう。この時の芭蕉の決断がなければ、ぼくたちは彼の名作群を目にすることはなかったのだ。
とはいえ、仕えをやめてから実際に芭蕉が江戸に向かい北村季吟の門をたたいたのは1672年のこと。当時の俳諧師は生活的に厳しく、この6年間に芭蕉の悩み、逡巡も見て取れ、凡人であるぼくたちにも勇気を与えてくれるのだ。
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