物語無き時代の物語
1997.11.18
子ども調査研究所というのがあるのだそうで、
研究員の渡辺尚美という人が若者ウォッチングを書いている(日経11月17日)。
その視点が面白かった。
57年の三種の神器といえば「テレビ、冷蔵庫、洗濯機」、
66年の3Cといえば「カー、クーラー、カラーテレビ」。
国民皆が一致してあこがれる何かがあったのだ。
そこには単一で強烈で分かりやすい価値観があった。
そこへの一本道を進むことが幸福だった。
しかし今、幸福への道は複雑である。現在、若者が好むのは、
「○○なのに××」という複層性が共通項だという。
たとえば外はサクサクなのに中はフワフワのベルギー・ワッフル。
あるいは歌は二の線なのにしゃべると三の線のT・M・Revolution。
単純なのに奥が深い「パラッパラッパー」。
けっきょく、「○○なのに」という平板さを「××」と裏切ることで物語を生んでいるのだ。
物語無き時代の物語を、求めている。
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